講演要旨
計算科学技術は産業を支える基盤技術として重要な役割を担っています。
特にバイオ、ナノテクノロジー、環境分野、防災分野などの先端科学技術分野では、
産業競争力の鍵を握る技術となっています。文部科学省ITプログラム「戦略的基盤
ソフトウェアの開発」プロジェクトが2002年度より開始され、現在100名を超える
研究者・技術者が東京大学 駒場リサーチキャンパス内に結集して、プロジェクトを
推進しています。
本プロジェクトの目標は、日本国における計算科学用の実用的ソフトウェアの開発・
保守体制の確立にあります。このため、先端的実用ソフトウェアの開発を業務とする
ベンチャー企業アドバンスソフト(株)等と連携して、プロジェクトを推進していま
す。
数値流体力学(CFD)従来は時間平均解析しかできなかった工学的乱流場の予測に
LES(ラージ・エディ・シミュレーション)を基礎とする非定常解析法を実用化し、
1億格子
点規模の非定常流れの数値計算を実現しています。特に、動力・エネルギー機器設計
における燃焼流や混相流の問題、車両・ターボ機械・建築構造などで重要な流体音や
流れと構造の干渉問題での数値予測の実用化を目指して開発しています。