講演要旨
浮体と波浪の強非線形現象は船舶海洋工学の分野では重要な研究課題であり，その
典型的な例は，大振幅波浪中での船舶のスラミング，海水打ち込み，上部構造への青
波による波浪衝撃，転覆に至る浮体の大振幅動揺などの現象がある。このような現象
は，場合によっては空気巻き込み，砕波などを伴う強非線形な現象であり，従来の線
型理論や摂動展開法に基づく理論展開法では限界がある。本研究の目的は最新のCFD
手法を用いてこのような波と浮体の強非線形相互干渉問題に対する定量的な推定法の
確立である。
この強非線形現象を数値解析する際に最大の難点は大変形・破砕する自由表面の処
理である。この場合では，界面を表面関数として取り扱うLagrange的な追跡法は機能
しなくなり，界面を密度関数として追跡するEuler的な方法を使用することになる
が，数値拡散が生じるためそれを解消する方法が必要となる。
本講演ではまず現在開発中のCIPスキームをベースとした数値シミュレーション方
法を解説する。さらに二次元及び三次元数値計算例を紹介し，現段階の方法の特徴・
問題点，これからの研究課題及び応用について説明する。